査定部門の人間を軽く見ている

 だがAさんは、「たしかに、うちの会社は役員に対しても“さんづけ”で呼ぶ習慣がありますが、それによって物が言いやすいフランクな関係ができるかと言ったら、また違うでしょう」と苦笑いした。

 半年前の告発の際、「私は会社を陥れるためではなく、問題点をちゃんと正してもらいたいという思いから話をしました」と、まだ会社を見限りたくない気持ちを語っていたAさん。今は、会社にどのような思いを抱いているのだろうか。

「正直、嫌気がさす気持ちはあります。業務量は相変わらず多く現場は疲弊しているし、交通事故の過失割合や車の損傷状況を調査する査定員たちは、同じ正社員でも給与体系が別で、退職金すらない。会社はやっぱり、査定部門の人間を軽く見ているんだなと思ってしまいます」

 社外からの信頼回復の道も、依然として険しい。Aさんの妻も、職場の同僚から「ご主人の会社、大丈夫?」といまだに心配されており、ネガティブな印象がぬぐい切れていないことを痛感するという。

 それでもAさんは、会社を信じようとする気持ちを捨てていない。

「部門部署を問わず、会社に見切りをつけて辞める若い社員が続出しているという話も聞きますが、私としては、4月から新年度になってどう改革が進んでいくのか、もう少し見守ろうと思います」

 金融庁の命令に従い、損保ジャパンは3月15日までに業務改善計画を提出する予定だ。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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