「櫻田さんが知らなかったはずがない」
金融庁から業務改善命令が出された翌日の1月26日、HDと損保ジャパンは合同で記者会見を開き、13年9カ月にわたりトップの座についていたHDのが3月末ですべての役職から退くと発表した。
しかし櫻田氏は、損保ジャパンがBM社の不正を認識しながらも取引を再開したことについては「知りませんでした」の一点張りで、記者から自身の責任について問われると「結果責任はある」と繰り返した。
業務の傍ら会見の中継を見ていたというAさんは、「櫻田さんが知らなかったはずないでしょう」とあきれる。
「(当時損保ジャパン社長だった)白川さんが問題を認識した時点で、櫻田さんにも話は行くはずだと社内の人間なら誰もが思っています。白川さんは社長に就任して間もないタイミングでしたし、とても一人で抱えられるレベルの問題ではありません。万が一、櫻田さんが本当に知らなかったのだとしたら、上に物が言えない企業体質があったという意味で、それはそれで問題だと思います。櫻田さんは実際、社内で“天皇陛下”って呼ばれていましたからね」
“上に物が言えない体質”という点は、金融庁も「損保ジャパンにおいて、歴代社長を含む経営陣の下で醸成されてきた企業文化」として問題視している。しかしこの指摘について、櫻田氏は会見で「少しびっくりしたというところです」と述べ、自ら始めたという“さんづけ運動”なる取り組みを紹介した。
“さんづけ運動”とは、上司に対し、「○○さん」と名前ではなく「○○部長」などと役職で呼んでしまった社員が、櫻田氏の席に置かれた空き缶に小銭を入れなければいけないシステムのこと。櫻田氏は、「そのような形をもって階層を壊していく、グッドクラッシュ、いいぶつかり合いをやってきたつもりです」と訴えた。