一方で、治療費が高額なことや副作用などの課題もあります。
「JAK阻害薬については、長期に使用した場合にがんを発症するリスクが高まるというデータや、心血管疾患のリスクを高めるという欧米のデータもあり、使用を慎重に検討すべき症例もあります」(大野医師)
これらを鑑み、現在のガイドラインでは先に生物学的製剤を使い、効果が不十分な場合にJAK阻害薬を使うことを推奨しています。
進行した人には手術やリハビリなどの治療法も
病状が進行し、関節の障害が著しく日常生活に支障をきたす場合は手術をおこないます。ただし、「薬物療法の進歩により手術が必要になる人は大幅に減少している」と今回取材した2人の医師は話します。
「新しい薬が数多く登場し、それらによる治療が普及したのはこの10年ほどです。その前から20年、30年とこの病気とつきあってきた人などは関節の破壊が進んでしまっているため、やはり一定数は手術が必要な人がいます。ただし薬物療法と同様、手術も進歩しており、人工関節に置き換える方法のほか、できるだけ関節を残して機能や整容(見た目)を回復させる手術も多くおこなわれるようになりました。手指の変形がきれいになった、歩いても痛みがなくなったなど、多くの患者さんに喜ばれています」(針谷医師)
また、関節を保護すること、筋力を維持・増強すること、壊れた関節やその働きを回復させることなどを目的としてリハビリをおこなうこともあります。リハビリには、温めたり光線をあてたりする物理療法、ストレッチや水中歩行などの運動療法、痛みの軽減や関節保護のための装具療法など、いくつかの方法があります。主治医の指示に従って症状に応じた適切な方法でおこなうことが必要です。
(文/出村真理子)