関節リウマチの治療は薬物療法が基本に
関節リウマチの治療法には、基礎療法、薬物療法、手術、リハビリテーション(以下、リハビリ)があります。基礎療法とは、病気のことを理解し、悪化しないように注意しながら生活していくことをいいます。
治療においては薬物療法が中心となり、使用される薬には、非ステロイド系抗炎症薬(消炎鎮痛薬)、副腎皮質ステロイド、従来型抗リウマチ薬(抗リウマチ薬)、生物学的製剤、JAK阻害薬などがあります。
日本リウマチ学会が作成した「関節リウマチ診療ガイドライン2020」では、関節リウマチと診断されたら、まずは抗リウマチ薬による治療をおこなうことを推奨しています(第1フェーズ)。一般的にはメトトレキサートという薬剤が第一選択となります。免疫の異常を改善して炎症を抑える薬で、これまでは経口薬のみでしたが、2022年から注射薬も使用できるようになりました。
「日本では最初に飲み薬が使われることが多いですが、副作用などで飲み薬が使えない人には注射薬をすすめることもあり、患者さんのニーズに応じた治療選択が可能になりました」(針谷医師)
メトトレキサートが使用できない人には、別の抗リウマチ薬を使用します。抗リウマチ薬は、使用開始から効果が表れるまでに数週間かかるため、それまでの間に消炎鎮痛薬やステロイドを併用することもあります。
抗リウマチ薬による治療で改善しない場合は、生物学的製剤、あるいはJAK阻害薬を追加(併用)、もしくは単独で使用します(第2フェーズ)。それでも十分な治果が得られない場合は、ほかの生物学的製剤やJAK阻害薬への変更を検討します(第3フェーズ)。
生物学的製剤は、炎症を引き起こす物質をブロックすることで関節の炎症を取り除き、骨や軟骨の破壊を抑えます。点滴もしくは皮下注射(患者自身がおこなう自己注射)で投与します。JAK阻害薬は、生物学的製剤とは異なるメカニズムで炎症を引き起こす物質をブロックする薬で、こちらは飲み薬です。日本では、生物学的製剤は2003年から、JAK阻害薬は2013年から関節リウマチの治療に使用されるようになりました。
「生物学的製剤、JAK阻害薬のいずれも非常に高い効果が期待できる薬です。生物学的製剤は、ブロックする物質により三つのカテゴリに分かれており、どの薬も効果は同等です。それぞれに副作用や、使用上注意が必要な合併症、併用薬などがあるので、それらを踏まえた上でどの薬を使用するか検討します。医師が使い慣れている薬剤を選ぶこともあるかもしれません。JAK阻害薬は、現在日本で使用できる薬が5種類ありますが、こちらも効果はどれも同等です」(同)