本来はからだを守るはずの免疫の働きによって関節が炎症を起こす病気、「関節リウマチ」。その主な症状は関節の腫(は)れや痛みですが、同様の症状を呈する病気はほかにも数多くあります。どのような検査をおこない診断するのか。区別が必要な病気にはどのようなものがあるのか。どのような治療をするのかなど、患者が知っておきたい関節リウマチの知識を専門医に聞きました。
この記事は、週刊朝日ムック「手術数でわかる いい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「関節リウマチ」全3回の2回目です。
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症状と血液検査、画像検査などで診断する
関節リウマチの治療法は進歩しており、早期に適切な治療をおこなうことで進行を抑え、病気になる前の生活を取り戻すことが可能になっています。そのため、早期診断・早期治療が重視されています。
では、関節リウマチはどのように診断するのでしょうか。大学病院で長年関節リウマチの診療にあたりながら、ガイドラインの作成などにも携わる東京女子医科大学病院膠原病リウマチ内科教授の針谷正祥医師はこう話します。
「関節リウマチかどうかは、関節の腫れが続いている期間、腫れや痛みがある関節の数と部位、関節の炎症の程度、自分を攻撃してしまう『自己抗体』ができているか、などから診断します」
炎症の程度(炎症反応)や自己抗体について調べるには、血液検査をおこないます。主に、血液中に含まれる「CRP」というたんぱくの値や、血液中の赤血球が沈んでいく速度(赤沈)を調べることで炎症の程度がわかります。
また、「リウマトイド因子」や「抗CCP抗体」という自己抗体の有無も調べます。リウマトイド因子(リウマチ反応)は、リウマチ患者の75%が陽性となりますが、ほかの病気がある人や健康な人でも陽性になることがあります。同様に抗CCP抗体もリウマチ患者の80%が陽性となりますが、ほかの病気で陽性になることは少ないため、早期診断に有用な指標といえるでしょう。