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 92歳にして食欲旺盛、現役の家庭教師、健康面の問題なし──。医師の小林弘幸氏が分析する自身の父親がいつまでも元気でいられる秘密とは何か。朝日新書『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』から一部を抜粋、再編集して解説する。

【図】認知症を予防するためには

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父がいつまでも元気でいられる「4つの理由」

 なぜ父は、92歳になってもこんなに元気なのでしょうか。医師の立場から、私なりに分析してみました。

 理由は大きく4つあると思います。1つずつ解説していきましょう。

(1)仕事をしている

 一番大きいのは、間違いなく仕事をしていることでしょう。高齢になっても仕事を続けている人は、たいていエネルギーにあふれています。

 こう言うと、「仕事をしているから元気なのではなくて、元気だから仕事ができるのだろう。順番が逆じゃないか」と反論してくる方がいます。

 でも、これまで私は、定年を迎えたとたんにガクッと元気がなくなって、体の調子まで悪くなってしまう人をたくさん見てきました。逆に、元気のなかった人が仕事を始めたとたん、みるみる元気を取り戻していく姿もたくさん見ています。

 これまでの経験からも、仕事というのはシニアが元気を保つうえで欠かせないものだと私は確信しています。

 ただし、仕事といっても、必ずしも働いて給料をいただく「賃労働」である必要はないと思っています。ボランティアも立派な仕事ですし、草むしりだって立派な仕事です。

 仕事とは人に仕えることでも、会社に仕えることでもなく、「事に仕える」ことだとよくいいます。この「事」は、何であってもいいのです。

 自分が一生懸命になれること、心から打ち込めることであれば、お金を稼ぐ、稼がないは大した問題ではありません。

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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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