92歳の父はなぜ、こんなに元気なのか　医師が親を分析して見つけた「4つの理由」

　いずれにしても、間違いなくいえるのは、定年退職して家でボーッとしていると、頭も体も心も、あっという間に衰えていくということです。自分なりの「仕事」を見つけることは、シニアにとってもっとも重要なことであると認識してください。

（2）体を動かしている

　2つめは、体を動かしていること。これも大きな理由だと思います。

　父はよく、自宅の庭の草むしりをしています。お金も足りているのだから、誰かに任せてもいいと思うのですが、どうしても自分でやりたいというのです。体を動かすことがそもそも好きなのでしょう。

　足腰が弱くなると、いろいろなところに悪影響が出てしまいます。歩くことがおっくうになると家の中にこもりがちになりますし、つまずきやすくなると転倒し、寝たきりになるような大けがにもつながります。

　そこで私は、みなさんにスクワットをおすすめしているのですが、草むしりの動作はスクワットによく似ています。

　スクワットは、人体を支えるのにもっとも重要な、太ももの筋肉を鍛えることができます。はじめは1日3回、5回ずつから。1週間つづけて、もう少しできそうなら、無理のない程度に回数を増やしていきます。

　草むしりも、スクワットとまったく同じとまではいきませんが、似たような効果は期待できるでしょう。

　おそらく父はそこまで意識していないと思うのですが、草むしりは医学的にも理にかなった「トレーニング」だったのです。