なぜ上川氏の容姿に触れたのか
その上で、今回の舌禍事件の背景をこう話す。
「麻生さんは党のナンバー2である副総裁で、上川さんと明確な上下関係がある。だから上川さんも強くは言えない。麻生さんは『オレのおかげで上川は外務大臣になれた』くらいに思っていて、オレが何を言っても上川が怒るはずがない、と計算した上で発言しています。麻生さんは人の心を先読みして、あのポストまで登り詰めた人。言いたい放題でも、結局、上川さんはなびいてくるという読みがあるんです。そして、ああいう発言をすることによって、自分は外務大臣よりも偉いんだということを見せつけているわけです。巧妙なイメージづくりと見ることもできます」
自民党の派閥では、麻生氏は志公会(麻生派)の会長であり、上川氏は岸田派の所属だ。
「岸田首相は小粒だけれども、一応は世襲議員で、家系を重んじる人です。家系という意味では、岸田首相は、麻生氏や安倍晋三元首相よりランクが下であることは明白です。安倍氏は岸信介元首相の孫であり、麻生氏は吉田茂元首相の孫ですから。だから、世襲議員のシンボルである麻生氏を岸田首相は尊重するんです」
麻生氏は先の福岡での講演で、上川氏の外交手腕を評価し、「新しいスターが、新しい人がそこそこ育ちつつあるんだと思いますね」と持ち上げてもいた。ところが、上川氏の名字を「カミムラ」と何回も間違えた上に、過去に「女性の外務大臣はいなかった」と事実誤認の発言もした。