全ての所属議員が参加できる自民党政治刷新本部会合で発言する岸田文雄首相(中央)=2024年1月23日午後、東京・永田町の党本部
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 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件は政界を揺るがし、有権者の政治不信が高まっている。政治改革は進むのか。久米晃・自民党元事務局長に聞いた。

【写真】「自民党は砂漠のよう」と語る久米晃・自民党元事務局長

――自民党の「政治刷新本部」(本部長・岸田文雄総裁)が1月25日、政治改革の「中間とりまとめ」を決定しました。

 これから国会で、与野党の提案をたたき台に議論が進められることになりますが、ポイントはカネの収支を明示すること、35年前の政治改革大綱の原点に立ち返ること、です。

――岸田さんは1週間前の18日夜、「宏池政策研究会」(岸田派、46人)の「解散を検討している」といきなり言い出しました。

 あの「派閥解散」は唐突でした。最初聞いたときは私もへえっと思ったけど、有権者はあまり反応せず、自民党内に反発を招いただけに終わった。直後の朝日新聞調査で内閣支持率は最低の23%で変化なし、各社とも支持率はほとんど変わらなかった。岸田さんも誤算だったんじゃないか。

 よく考えると、何で派閥の会長を辞めた岸田さんが、派閥の解消を言えるんですか。しかも当時は、党の刷新本部で議論している最中だった。その結論をミスリードした。

――どこでずれたのか。

 有権者が望んでいるのは派閥の解消じゃなくて、おカネの話でしょ。人が3人集まればグループはできる。どこの会社でもグループはできるが、限度、節度がある。その節度を失ったところに今回の問題があった。

 裏金の問題は、35年前のリクルート事件後に作った「政治改革大綱」を守っていれば起こり得なかったことです。これが、だんだんと形骸化してきた。

 あの安倍(晋三)さんでも清和会を離脱していた。岸田さんは首相になっても、派閥を抜けなかった。この問題が起きた後で会長を辞めた。その後で「派閥解散します」と言っても説得力はない。

自民党本部。久米さんは「人材が出てこない。自民党は砂漠のようです」と指摘する

 ――一方で、現実の派閥の実態を見ると、安倍派は分裂直前、「派閥存続」を主張する麻生派には後継者が見えない。

 安倍派としてまとまることはもはやありません。どこの組織でも見られることですが、トップが代われば分裂が起こりやすい。強いリーダーのあとは、なおさらです。5人組でもまとまらなかったわけだから、分解しかない。3分裂かな。

 世代交代、派閥再編は早まる。統制がとれない戦になるのではないか。

 麻生、茂木両派が仮に「偽装解散」しても、そのとたんに元に戻れなくなりますよ。だって麻生(太郎)さんとこは、ナンバー2が見当たらない。茂木派も、店を閉めたとたんに、おそらく参院は別グループを作るだろうし。軸になる人間がいないから再結集は難しくなるだろう。かろうじて宏池会だけは、形の上での後継者とされる林芳正官房長官がいて、何人か固まりが残るかもしれないが、基本的に分解でしょう。

 人材が出てこない。自民党は砂漠のようです。

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35年経っても顔ぶれが同じ