
――パーティー収入を「中抜き」しても立件されない政治家に、「民間企業なら一発アウト」とある商社マンはあきれ返っていた。
そう。なんで国会議員ばかり逃れてるのか、おれたちは1円単位まで領収書をとってるのに、と。こうした怒りはしばらくおさまらない、選挙は当面できません。
岸田首相はこの先も、支持率回復は難しそう。一方で、「岸田おろし」の声も党内から上がりそうもない。総裁任期の9月が近づくと、新しい顔で選挙を戦いたい、という空気になるでしょう。
日本最大の危機は、実は、人材不足だと思う。
――新総裁はだれに?
どの議員も、尻に火が付くどころか、カチカチ山のタヌキみたいに背中に火が広がっている状態。だったら新しい総裁で戦わざるを得ないわけだから、岸田さんは引きずり降ろされた菅さんと同じ運命になるのかな。新しい顔は、世論調査では石破さんや河野太郎さんの名前が出るけれど、我こそはと名乗り出る人はいないのか。
――「バラバラ野党」も岸田首相を助けている格好ですね。
取り急ぎ結束して自民党を倒すのか、それとも他に目標があるのか。野党が選挙のたびにばらばらに候補を出してくる目的が、さっぱりわからない。
とくに先日の党大会で党首が初めての女性になった共産党は、路線を変更する大きなチャンスだったのに。
共産党の大転換のひとつは、(憲法違反だとして拒否している)政党交付金をもらうことだ、と共産党の知り合いにも話したことがあるんですよ。委員長が代わって転換した党の姿をアピールできる。だけどそこまでの準備はなかったみたいですね。
――志位和夫委員長も2015年には小沢一郎さん(現・立憲)と野党共闘で存在感を示したが。
共産党は、候補擁立を見送るだけで、個別の選挙区ではかなりの力を発揮することを、その後の選挙では証明した。野党は与党に対抗するのが存在意義。それがばらばらだったら与党を利するだけ。野党が自己主張して個別に候補者を立て続ければ、自民党は大喜びですよ。国民は不幸ですよね。緊張感があれば自民は襟を正すでしょ。それが長い間なかったから、こういうこと(裏金事件)になったわけ。自民党も人材不足だけど、野党はもっとひどい。
(構成 ジャーナリスト 菅沼栄一郎)
■自民党の派閥(1月24日時点)
・安倍派(96人)
・麻生派(56人)
・茂木派(53人)
・岸田派(46人)
・二階派(38人)
・森山派(8人)

くめ・あきら/1954年生まれ。80年に自民党本部職員になり、2002年に党選対本部事務部長、11年から党事務局長。19年に退職。現在は、選挙・政治アドバイザー。旧民主党や共産党にも人脈が広い。
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