日本ハムからエンゼルスに旅立ち、メジャーで唯一無二の選手になっても質素な生活は変わらない。シーズン中は球場と家を往復する日々で、遠征先で出歩くこともない。昨年3月に世界一に輝いたWBCで侍ジャパンのチームメートとして共闘したラーズ・ヌートバー(カージナルス)が食事に誘った際、大谷が「寝てる」と返答して断ったことが話題となったが、自然な行動なのだろう。

 ヌートバーと強固な信頼関係を築いており、食事に行きたい気持ちはあったかもしれないが、プロのアスリートとして睡眠時間を確保することが優先順位の上にくる。なかなかまねできることではなく、超一流選手であることを裏付けるエピソードと言えるだろう。

今年30歳を超える大谷でも想像以上の活躍も

 大谷は今年30歳を迎える。投打の二刀流は体に大きな負荷がかかるが、若手の時からコンディションを整えることに注視してきただけに、経験値を積んだ30代は円熟味が増して今後も想像を超える成績を残す可能性がある。

 2度目の右ひじ手術を受け、今年は打者に専念する見通しとなっている。昨年は打率.305、44本塁打、95打点をマークし、アジア出身の選手としても初の本塁打王を獲得した。

 米国の通信員は、

「投手の負担がなくなるので、今年はさらにすごい成績を残す可能性がある。50本塁打をクリアし、三冠王獲得も決して夢物語ではない。オリックスからポスティングで新加入した山本由伸と共にワールドチャンピオンに輝く姿を見たいですね」

 と期待を込める。

 ドジャー・ブルーのユニホームを身にまとった大谷は「勝つことが今の僕にとっていちばん大事なことだと思いますし、優勝に欠かせなかったと言われる存在になれるよう全力で頑張りたい」と誓っている。

 大型契約を結んでも、グラウンド外での日常は変化しないだろう。大好きな野球で最高のパフォーマンスを発揮する――。大谷は派手な生活と無縁だ。

(今川秀悟)