心臓病が発覚するのは、多くの場合、検査によってです。

「健診などで、生活習慣病につながるさまざまな検査の数値の悪化がわかっているのであれば、放置するべきではありません。軽視しないで一度は近くの医療機関を、できれば循環器内科を標榜している医師を受診することが大切です」(桃原医師)

 検査で心臓病が見つかった場合は、早急に治療を受ける必要があります。

「近年は、患者さんのからだへの負担が少ない『低侵襲』な治療が普及したことで、治療の選択肢が増加し、治療が複雑になっています。治療を受ける際は、治療の選択肢を複数有し、いずれに対しても高い手技を持っていて、そこから個々の患者さんに対して適切に治療を選択してくれる病院・医師を選ぶべきです」(同)

 心臓病の場合、カテーテルを用いた内科的治療は、以前は狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に対する「経皮的冠動脈形成術(PCI)」に限定されていました。それが現在では、前出した心臓病の多くでカテーテル治療が検討できるようになりました。心臓弁膜症に対しては、大動脈弁狭窄症の治療である「経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI))」、僧帽弁閉鎖不全症の治療としてマイトラクリップをもちいた「経皮的僧帽弁クリップ術」があり、大動脈疾患には「ステントグラフト内挿術」という治療があります。東海大学病院心臓血管外科教授の長泰則医師は、次のように話します。

「カテーテル治療をするか、手術をするか、治療の選択肢が増えています。そのため、内科と外科(ハートチーム)がよく話し合って慎重に検討し、治療方針を決めることが理想的で、最終的に治療法を決断する患者さんにとっての大きなメリットになります」

 このように、心臓病の治療技術は日進月歩で、高齢者でも治療が受けられるようになり、より長く生きられるようになったことは確かです。その一方で、先にも述べたとおり、治療後の心不全患者が急増しています。何より心臓病の予防にも関心を持つことが大切です。

(取材・文/伊波達也)