
――ルンバが活躍するには片づけが必要ですよね。
最初からルンバのために家具を買い、ルンバが通れるようにするんです。床に物を置くなんて絶対許されません。うちはルンバファーストです。
――素晴らしい。
静岡県立大は、キャンパスが広々として綺麗だし、美術館も近くにあって、文化的にも見るべきものが多い。自然もいっぱい、食べ物やお酒もおいしい。自宅から1時間半で着きます。もっと新幹線の便が多ければ最高ですが(笑)。
学生の成長を見られる幸せ
大学からは富士山がどーんと見えます。実験室の面積は医科歯科大のときの2倍ぐらいかな、ラボにいる人数も多いけど。学生も真面目で熱心で、教えがいがある。学生が成長するのを間近で見られるこの環境は、本当に幸せ。彼ら彼女らと良い研究がしたいと、心から思います。個人で研究をするより、ずっと楽しい。
――これからやりたいことは?
世界に向けて「こんなメカニズムがあるんだったら、男の人と女の人で薬物治療を別々に考えないとまずいよね」っていう説得力のある基礎データを研究室員と一緒に出したいですね。
いま注目してるのは、感染症になったときの症状の出方が男女で違うことです。感染によって体中で炎症反応が起こると、臓器障害が起きて重症化する。性ホルモンが全身の臓器で性別による違いをもたらすことはよく知られていますが、最近は他のメカニズムも複雑に絡みあっていることがわかってきて、私はX染色体の遺伝子に目をつけています。炎症反応をつかさどる遺伝子がとくにX染色体にたくさんあるんですよ。
性差薬学研究は、これまでの平均値でとらえていたライフサイエンスからの脱却とも考えられます。そういう意味では、ライフサイエンスの変革を牽引する分野なんです。