東京・飯田橋にある東京都消費生活総合センター=米倉昭仁撮影

 多くの学校が閉鎖されて対面の機会が激減したことで、USBを売ることができなくなった。そこで増えてきたのが恋愛目的のマッチングアプリを入口とした投資セミナーへの勧誘だと、高村さんは解説する。

「これまでは誘った先輩や友人に悪評がつくリスクがあった。ところが、マッチングアプリで知り合って投資セミナー契約の勧誘し、お金を払わせてしまえば、『もう会いません』と言って、姿を消してしまえばいいから後腐れがない。被害者は紹介者が好意を持っていると確信しているから成功率も高い。手口がすごく悪辣になっている」

 そして、もともと顔見知りではない人とマッチングアプリで出会うため、学生と社会人との垣根もなくなった。
 

 比較的多い手口は、このようなものだ。

 知り合った相手を外食などに誘い、羽振りのよさをちらりと見せつける。

「そこで相手は、実は投資の勉強をしていて、少しずつ儲けが出ているんだという話をする。投資を学んで、将来、一緒に生活するなら豊かな生活をしたいよね、とにおわせる。そして、もし興味があるなら『投資の先生』の話を聞きにいかないか、と誘う。気に入った相手だし、ちょっとくらいならいいかなと思って先生に会いに行ってしまうんです」

 出かけた場所は、高級感のある喫茶店やホテルのラウンジなど。「先生」と呼ばれる人はブランドのバッグや高級な時計を身に着け、憧れるような生活ができることを装っている。さらに「弟子」のような取り巻きもいて、セミナーの内容がいかに有益で、豊かな生活がどのようなものか、饒舌に、延々と説明する。

「一人で多数相手ですから、なかなか入会を断れない。しかも、いいなと思っている相手から、一緒に投資の勉強を頑張らないかとささやかれるわけですよ。それで入会契約書にサインしてしまう」
 

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