投資に対する関心が高まるなか、暗号資産やFX取引などで儲かるとうたって投資セミナーに誘い、高額な契約を結んだという学生の相談が増えている。以前は大学などの先輩や友人から勧誘されるケースが多かったが、コロナ禍以降はマッチングアプリで出会い、恋愛感情に付け込む手口が広まっているという。警察による摘発や返金は難しく、専門家は「簡単に稼げる儲け話はない」と注意を呼びかけている。
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国民生活センターによると、「株取引で儲かるという情報商材を購入した」といった情報商材に関するトラブルの相談は、2016年度は全国で2967件だったが、20年度は6556件と倍増。なかでも、10~20代の若者が占める割合が21%から46%に急増した。
暗号資産のトラブルも増えている。学生ローンで借金をして暗号資産の投資契約をしたが「業者と連絡が取れなくなった」「出金できない」といったトラブルも、同時期に847件から2894件と3.4倍になり、若者が占める割合も9%から25%と大きく増加している。
なぜ若者のトラブルが増えているのか。被害者の声を直接聞いてきた東京都消費生活総合センター相談課長の高村淳子さんは、こう語る。
「警察は今、高齢者を狙った特殊詐欺の取り締まりにすごく力を入れています。そこで目をつけられたのが若者、という感じがします。お金に対する知恵や知識が乏しいから簡単に落とせる。20歳そこそこの子をだまして借金を背負わせるのは『悪質ホスト』問題と共通しています」
18~29歳の平均被害金額は、19年度は約85万円、23年度(11月末までの暫定値)は約87万円。このうち大学生や専門学校生の被害額は約37万円から約74万円に増えており、社会人との差はほとんどなくなっている状況だ。
判で押したような同じ手口から一変
高村さんによると、投資をうたって金をだまし取る手口は、コロナ禍の前後で一変しているという。