人気は着実に上がっている。経営面でも軌道に乗り始めている。日本のバスケが成長を遂げるなか、「Bリーグ」はさらなる高みを目指している。その鍵は、街づくりの根幹にもなりうる「アリーナ」の存在だ。AERA 2024年1月15日号より。
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島田慎二チェアマンは、Bリーグの成長戦略の核は「アリーナにある」とこだわる。
「野球やサッカーと肩を並べるような競技になるには今の延長線上ではなく、もう一歩ブレークスルーしないといけない。そのためには来場者の観戦体験をガラッと変えなければと考えました。Jリーグは1993年の開幕時、スタジアムを全国につくり、2002年サッカー日韓W杯の熱狂も手伝ってファンを獲得していきました。陸上競技場で見るのとサッカー専用スタジアムで見るのとではファンのテンションはまったく違う。アリーナ構想はBリーグ将来構想の一丁目一番地なのです」
競技成績によるクラブの昇降格廃止の決断も、アリーナ構想を推し進めるためだ。アリーナ建設にあたって各自治体やステークホルダーの説得を想定すると、人口減少や停滞する日本経済を背景に巨額の箱もの投資は受け入れられない。
「300億円投資しました、でも降格したので使えませんという可能性が残っていれば怖くて手が出せない。だから降格はありません、と。ファンが増えて、地元企業が支えれば、ホームアンドアウェーで流入人口が増加し、経済効果が期待できる。それをきっかけにコンサートなどができれば地域は潤う。各方面を説得する手段として降格を廃止する判断をしました」
アリーナの建設ラッシュ、入場料収入への影響大
さらに近年、線状降水帯などによる水害や温暖化による災害が相次ぎ、地政学的なリスクもある。アリーナはそうしたときに市民県民を守る基地にもなりえるという社会的意義もあると島田さんは力を込める。
実は、その“成功事例”がすでにBリーグの中にある。昨季の優勝チームの琉球ゴールデンキングスだ。
琉球は21年に沖縄アリーナを開業。リーグトップの平均入場者数を誇る。昨季の売上高は約24億円でリーグ3位だったものの、入場料収入は約10億円で1位だった。入場料収入2位の千葉Jはリーグ屈指の強豪クラブながら約6億円だったことを考えれば、アリーナ効果のインパクトは非常に大きかったといえる。