巨人・高橋優貴(左)と中日・高橋周平(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/中日ドラゴンズ)

 キャンプインまであと3週間を切り、各球団の補強もある程度落ち着いてきた印象を受ける。しかしキャンプ中に故障で長期離脱を余儀なくされる選手が出るなどすると、トレードで緊急補強というケースも当然出てくるだろう。そうなると狙い目となるのが、同じポジションに力のある選手が多く重なることによって生じる“余剰戦力”となっている選手だ。

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 そういった選手の飼い殺しを防ぐために一昨年のオフから現役ドラフトが開催されることになったが、2年続けて各球団1人の移籍にとどまっている。そこで今回は、今シーズン他球団から見て狙い目となる余剰戦力になりそうな選手を探ってみたいと思う。

 まず真っ先に目につくのがパ・リーグ三連覇を達成したオリックスの外野陣だ。昨年は主に杉本裕太郎がレフト、中川圭太がセンター、茶野篤政と野口智哉がライトで起用されることが多かったが、ここにフリーエージェント(FA)で獲得した西川龍馬、新外国人のトーマスが加わることによってさらに競争が激しくなることが予想される。

 また二軍を見ても昨年ウエスタン・リーグ首位打者の池田陵真や盗塁王の渡部遼人なども控えている。西川の人的補償では野手も多くプロテクトから外れていたと思われるが、広島が指名したのは若手投手の日高暖己だった。このようなチーム事情を考えると、余剰戦力となる可能性が高そうなのが福田周平だ。プロ入り1年目からセカンドのポジションをつかみ、4年目の2021年からは外野にコンバートされると、翌2022年にはゴールデングラブ賞も獲得している。しかし昨年は中川の台頭と茶野の抜擢もあってプロ入り後最低となる36試合出場、18安打という寂しい数字に終わった。

 今年ももちろんレギュラー候補の1人であることは間違いないが、昨年よりもライバルが増えたことでより厳しい立場になることは間違いない。ただ、しぶとい打撃とスピード溢れる走塁、また内野も外野も守ることができるというのは大きな魅力であり、今年で32歳という年齢を考えてもまだまだレギュラーとして活躍できるだけの余力はあるはずだ。今年も昨年のような状況が続くようであれば、守備力の高いリードオフマンタイプが欲しい球団が獲得を狙う可能性は十分にありそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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