最後にもう1人、セ・リーグで気になる存在なのがやはり高橋周平(中日)だ。昨年は開幕から調子が上がらず、86試合の出場で打率.215、プロ入り以来初となるホームラン0本に終わっている。チームのサードを任せられている石川昂弥は膝の故障歴があるだけにまだ万全のレギュラーとは言い難いが、過去2年間のドラフトで内野手を多く獲得しているだけに福永裕基、津田啓史などがサードに回る可能性もあり、そうなると高橋の出番はますます少なくなることが予想される。
一軍デビューが早かっただけにベテランのような印象が強いが、今年で30歳という年齢を考えるとまだまだ出場機会があれば復活する可能性もあるはずだ。トレード候補として名前が挙がることも多いだけに、今後の動向にも引き続き注目したい1人である。
日本ではトレードというと“放出”という言葉が使われることも多く、どうしてもネガティブなイメージが強いが、他球団から請われて移籍することでチャンスが広がるケースも多いはずだ。ここで名前を挙げた以外の選手も、移籍によって大きく花開くケースが多く出てくることを期待したい。(文・西尾典文)
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。