遺伝性の病気により起こる卵巣がんも
卵巣がんには、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」という遺伝的な病気が原因で起こるものもあります。アンジェリーナ・ジョリーが公表したことで広く知られるようになった病気ですが、この病気の人は生まれつきBRCA遺伝子という特定の遺伝子に異常があり、それにより乳がんや卵巣がんを発症しやすくなります。
そのため、45歳以下で乳がんを発症した人や、卵巣がんや卵管がんを発症した人など、対象とされる人は医師の説明と遺伝カウンセリングを受けた上で、BRCA遺伝子変異があるかを調べる遺伝子検査を受けるという選択肢があります。乳がん患者で、BRCA遺伝子変異がありHBOCと診断された人は、卵巣がんを予防するための「リスク低減卵巣卵管切除術」を保険診療で受けることができます。この手術を受けることで、卵巣がんの発症リスクが約80%減少、卵巣がんによる死亡リスクが約70%減少したというデータがあります。
「BRCA遺伝子変異のある人全員が卵巣がんになるわけではありませんが、リスクを減らすことはできるため、対象となる人はまず医師に相談し、しっかりと遺伝カウンセリングなどを受けた上で考えることが大切です」
(文・出村真理子)