閉経後に多い子宮体がんは早期発見しやすい
子宮体がんは40代後半から増え始め、50代の閉経後に最も多くみられます。女性ホルモンとの関わりが深く、出産経験がないことや、肥満、高血圧、糖尿病などがリスク因子とされています。また、リンチ症候群という遺伝性の病気によって起こるものもあります。子宮体がんは年々増加しており、食事や生活の欧米化、出産回数の減少などが原因と考えられています。
症状として、不正出血や下腹部の痛み、おなかの張りなどがあげられます。月経のない閉経後は不正出血などの異常に気付きやすいため、早期発見につながりやすい傾向があります。また、がん細胞の性質などにより、「類内膜がん」「漿液(しょうえき)性がん」「明細胞がん」などに分類され、漿液性がんや明細胞がんは悪性度が高いとされています。一方、子宮体がんで最も多い類内膜がんは、比較的治療後の経過が良いがんといわれます。
「子宮体がんの約8割は類内膜がんです。そのなかでも悪性度の低いグレード(G1、G2)では5年生存率が約90%。わりと進行がゆっくりで、手術をすれば治ることが多いがんといえます。ただ、体がんのなかには悪性度の高いタイプもあり、治療に難渋することもあります」
診断には、子宮内膜の細胞を採取してがん細胞の有無を調べる「細胞診検査」や、がん細胞の性質や悪性度を調べ、子宮体がんの確定診断をおこなうための「組織診検査」のほか、超音波検査やMRIやCT、PET-CTなどによる画像検査、血液検査などをおこないます。
手術が基本で、再発リスクを予測しその後の治療法を検討
治療では、子宮と卵巣・卵管を切除する手術が基本で、必要に応じて周囲のリンパ節も切除することがあります。また、子宮体がんでは手術の後に、がんの広がり具合やがん細胞の性質などから病期の決定と再発リスクの予測をおこない、その後の治療方針を検討します。再発リスクが低い場合は経過観察となり、「中リスク」と「高リスク」では薬物療法や放射線治療などをおこないますが、「追加治療が必要なケースは全体の3分の1ほど」と寺尾医師は話します。