女性管理職の割合は徐々に増えてきてはいるが、まだまだ少数派。そんな中、AERAでは11年ぶりに「女性管理職100人アンケート」を実施。実態やホンネはどう変化したのだろうか。AERA 2024年1月15日号より。
【図表】女性管理職100人アンケートでわかった子育て中の女性管理職の実態がこちら
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人材教育コンサルティング会社のアチーブメント(東京都江東区)で管理職として働く岡口瞳美さん(35)は、27歳で結婚し、現在5歳の娘がいる。子どもが欲しいと考えた時、ノートを広げて、“計算”したという。
「仕事のパフォーマンスは、自分の能力×時間。子どもができたら物理的に仕事にかける時間は減る。能力が今と同じであればパフォーマンスが下がってしまう。出産後にキャリアアップしていくためには、自分の能力を140%に上げておけば、掛け算した時に同じになるな、と」
そう考えた岡口さんは、妊娠前から大学院に通い始め、出産後に経営学修士(MBA)を取得。夫やシッターさんと子育てを分担しながら、2022年、マネジャーに昇格した。現在17人の部下を抱え、こう話す。
「大学院を2年で修了できたことは自信になったし、仕事をする上で心の支えになっています」
いま、若い世代を中心に昇進や管理職を望む女性が増えている──。
こんな分析結果が、23年版の男女共同参画白書に盛り込まれている。同白書によると、20代の時点で管理職を希望する・していた女性は20代で28.9%、30代22.2%、40代17.6%、50代13.5%と年齢に反比例して減少するので、若い世代は高い割合だと言える。だが、男性は20代から50代まで全て4割を超えていることに比べると「まだまだ」という印象が強い。
MBAで本気を示す
同白書によると、22年の女性管理職の割合は、係長級24.1%、課長級13.9%、部長級8.2%。全体的に増加傾向にはあるものの、女性管理職はいまだ少数派だ。
冒頭の岡口さんも、
「産休育休の制度がしっかりしていて、女性登用の進む会社ではあるけれど、現在の管理職は大多数が男性。『子どもを産んだって総合職で本気で働きたい』と意思表示をするためにも、MBAの取得が必要でした」
と打ち明ける。