国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭の開会式に出席される天皇、皇后両陛下=23年10月15日
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 皇后雅子さまは12月9日に60歳の誕生日を迎えられた。昨年、59歳の誕生日に「人生のちょうど半分ほどを皇室で過ごしてきたことに感慨を覚えております」と感想をつづられたが、還暦を迎える今年はご成婚から30年、令和になって5年の節目の年だ。雅子さまが皇室に、そして私たちのもたらしたものとは? 象徴天皇制に詳しい歴史学者で名古屋大学人文学研究科准教授の河西秀哉氏に聞いた。

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 長かったコロナ禍が明け、一般参賀園遊会など復活した皇室行事も多かった2023年。コロナ禍は、私たちの実社会にさまざまな変化をもたらした。名古屋大学准教授の河西秀哉氏は、その変化が「雅子さまにとってよいほうに働いたのではないか」と指摘する。

「一般にお代替わりの儀式というのは大変ですから、雅子さまのご負担は大きかったかと思います。もし、雅子さまがずっとお代替わりの儀式後も様々な公務を継続せざるを得なかったとしたら、どこかでお疲れが出てしまわれたかもしれない。

 コロナ禍があったことで、もちろん国民のことを思って精神的に気を使われた部分は多かったと思うのですが、さまざまな活動が制限されたことで、体調と相談しながら公務に関わることができる機会になったかもしれません。

 コロナ禍も落ち着き、この一年、皇室行事や公務が再び行われるようになってきました。そうした公務が、雅子さまのご体調に過度な負担にならないようにしなければならないと感じます」

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いままでと同じでよいのか