センターラインが手薄な阪神にとっても、大和はチームに不可欠の戦力とあって、当然残留を要請された。契約条件はDeNAより良かったとも言われる。
だが、大和は「12年間プレーしたタイガースに愛着はあった。でもゲームに出たい気持ちと葛藤があった。野球選手が一番輝ける時期は少ない。チャンスに飛び込もうと決めた」とレギュラーとして働ける場を求めてFA宣言。交渉解禁と同時に獲得に動いたDeNAに年俸1億円の3年契約で移籍した。
前年の年俸5000万円から8000万円前後のアップとみられていた大和に1億の値がついたのは、「内野でも外野でもどこを守ってもゴールデン・グラブ賞が獲れるほどの守備の名手。(スイッチヒッターで)右、左関係なく打てるのも大きい」という高田繁GMの攻守両面での高評価からだった。
小学校の卒業文集で書いた「1億円プレーヤーになる」夢を新天地で実現した大和は「守備で一番の評価をいただいたのがDeNAだった。しっかりと守備でアピールしたい。優勝するためにここへ来た。実力でレギュラーになりたい」と定位置獲りを誓った。
その言葉どおり、19年には正遊撃手として自己最多の137試合に出場し、3年契約満了後の20年オフにも現状維持の1億円で契約。4年間にわたって1億円プレーヤーを続けた。
最後は“日本一地味な1億円プロ野球選手!?”の見出し付き記事で紹介されたこともある異色の投手を紹介する。今季限りで現役を引退した谷元圭介(日本ハム‐中日)だ。
日本ハム時代の16年、身長167センチの右腕は、中継ぎとして3年連続50試合以上となる58試合に登板して、31ホールドポイント(うち救援勝利が3)を記録。広島との日本シリーズでも胴上げ投手になるなど、チームの10年ぶり日本一に大きく貢献した。オフの契約更改では、連投を苦にしないタフネスぶりに加え、「走者を背負った場面では迷いなく谷元だった。度胸があるもん」(栗山英樹監督)と緊迫した場面での好投を評価され、年俸7200万円から1億円にアップ。プロ入り後、「僕みたいな立場、中継ぎ投手が1億円というのは夢があると思う」と大目標に向かってチャレンジを続けてきたことが、8年目で報われた。