驚きの声が上がったのは、巨人が獲得レースに参戦したことだった。救援陣は補強ポイントだが、先発はある程度頭数がそろっているように見えたからだ。12勝をマークした戸郷翔征、自身初の2ケタ勝利を挙げた山崎伊織は先発ローテーション入りが確定。残留の可能性が高いとみられるグリフィン、メンデス、夏場に先発で安定した投球を見せた赤星優志も有力候補となる。6枠目をかつてのエース・菅野智之、若手成長株の横川凱、松井楓、ドラフト1位の西舘勇陽(中大)、2位の森田駿哉(ホンダ鈴鹿)らで競う図式か。実績十分の菅野はコンディションが万全なら序列が上がるだろう。西舘、森田は適性がある救援で起用される可能性がある。
巨人を取材する記者は、「先発は盤石に見えるが、2ケタ勝利を確実に計算できる投手がいるかというと戸郷ぐらい。山崎伊も相手のマークが厳しくなる来季に真価を問われる。今年日本一に輝いた阪神を見ればわかるように先発投手は何人いても困らない。山崎福が加入すれば、先発ローテーションに厚みが増すことは間違いない。V奪回に向け、投手力強化に本気で力を入れているということでしょう」と指摘する。
ただ、在阪のスポーツ紙記者は「過剰な期待は禁物です」とくぎを刺す。
「山崎福が2ケタ勝利をマークしたのは11勝をマークした今年のみ。130回1/3で規定投球回数に到達していません。変化球が多彩な好投手ですが、打順が2巡目以降の5回以降につかまる傾向が高い。今季白星を積み重ねられたのも、打線の援護に恵まれた側面がある。先発の序列でいえば3番手以降の投手です。メディアの報道で、『4年以上の長期契約で10億円を提示』というニュースを見ると、期待値が高すぎるかなと。今オフは同じ先発左腕で抜群の安定感を誇る加藤貴之(日本ハム)がFA権を行使せず残留を決断したことで、山崎福の価値が高まっているように感じます」