もちろん、グローバルサウスの国々も「馬鹿ではない」。そうした各国の思惑をむしろうまく利用して自国の利益拡大を図ろうとするから、中国が簡単に彼らを従えることにはならないかもしれない。
ただ、一つだけはっきりしているのは、米国もG7も、もはや国際政治のリーダーではないということだ。そして、その一角を占める日本は、G7の地盤沈下とともに一番先に存在感を失っていく運命にある。何しろ、何を考えているか不明で、明らかなのは米国に追随することだけというのが世界の日本に対する共通認識である。そして、その米国は、自国ファーストから抜け出せず、今後いたるところで世界の大きな流れに逆らい、その都度信頼を失っていくだろう。
そうしたことを考えた上で日本は何をなすべきか。
実は、答えは極めて簡単だ。それは、日本外交安全保障の基本に立ち返ることである。その基本とは、米国中心の安全保障戦略、ではない。
日本国憲法である。冒頭に述べたとおり、憲法第9条は、明確に国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄するとしている。そのために戦力不保持も定めた。その前提として、憲法前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれている。これこそ、日本外交の基本理念、哲学である。これをパレスチナ問題に当てはめてみよう。