今、世界中の市民による反イスラエルのデモは、イスラエルによる大量虐殺に対して抗議し、平和と正義の実現、具体的にはパレスチナ人に対する差別とそれに基づく大量虐殺の即時停止を求めている。その勢いは、米国のバイデン政権でさえ、国連安保理に提出された長期間の人道的な戦闘休止と回廊の設置を求める決議案に反対できずに棄権に回らざるを得ないというところまで追い込み、その結果、決議は採択された。イスラエル政府も表には出さないが、いくばくかの影響を受けているように見える。

 これこそ、前述した日本国憲法の前文と第9条が当てはまる状況だ。パレスチナ人にとって、自らの生存を軍事力によって確保することは全く不可能だ。もし彼らが自らの国家を樹立できるとしたら、彼らの憲法には、日本国憲法同様、戦争放棄と戦力不保持、そして、諸外国の公正と信義による国家安全保障(イスラエルを含む周辺諸国と世界の主要国による独立の保障)というビジョンを掲げることこそが最も理想的な解決の道筋となるのではないだろうか。

 この考え方は、出口としての二国家共存への答えにもなる。イスラエルから見れば、ハマスのように武力でイスラエルを滅ぼそうという勢力がいる限り、パレスチナ支配を弱めることはできないであろうが、逆にパレスチナ国家が戦争を放棄し戦力を持たないということになれば、パレスチナの独立を認めることに反対する理由は大きく減じるはずだ。

 日本は、西側諸国の「軍事による紛争解決志向」に毒された考え方を勇気をもって否定し、米国や他のG7諸国にこの提案を提示してその賛同を得る努力をすべきである。戦争を絶対悪とする本来の日本国憲法を前面に押し出すのだ。そうすれば、米国から「独立」した国として世界から初めて認められ、真の平和国家として世界のあらゆる国から共感と尊敬を集めることができる。それが日本の安全保障にも大きく寄与するはずである。

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