古賀茂明氏
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 日本の平和憲法は、いかなる国際紛争も武力で解決しようとしてはいけないという哲学に立脚している。他方、G7はじめ西側先進国やロシアなどは、自衛権の範囲を超えて、様々な国際紛争に武力介入を続けてきた。特に米国は、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、アフガン紛争、シリア内戦など非常に多くの紛争に関与した。しかし、軍事力によって問題が解決できないばかりか、逆に米国撤退後の地域の状況は、介入前よりもはるかに悪化する例がほとんどであった。

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 つまり、国際紛争を軍事力で解決しようという哲学は間違っているということが証明されたわけだ。

 ウクライナ、中東と続く大きな国際紛争を前に、現在、米国中心の西側諸国の外交は、完全に手詰まり状態となっている。とりわけ、これまで世界秩序を守る役割を果たしていた米国には、その能力の低下だけでなく、世界における信頼度低下という由々しき事態が生じている。 

 こうした事態をさらに深刻化させるのが、イスラエルによるパレスチナ侵攻における時代錯誤の対応だ。

 米国中心のG7はイスラエルのジェノサイド(大量虐殺)を批判することができず、頑なにイスラエル支持の姿勢を崩さない。ハマスのテロ行為をことさら強調する一方で、殺害規模でその10倍にもなるイスラエルによるパレスチナ民間人の大量虐殺に対しては、そのこと自体を直接批判することはなく、「民間人の犠牲は一人たりとも許されない」というきれいごとを述べるだけで、日々何百人もの子供や女性の犠牲者が出ていても、なお、人道目的の毎日短時間の戦闘休止で満足し、イスラエルに即時「停戦」を呼びかけることさえできない。

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米国などの西側先進国に対する反発が高まっている