「創価宝光会館」に運び込まれた花束の1つ。池田大作夫妻へのメッセージが書いてある(撮影/板垣聡旨)

「私の人生の師匠でした」

 中には、目に涙を浮かべながら大誓堂へ駆け込む人もいた。目を真っ赤にしていた中年の女性に声をかけると、「今日はごめんなさい」と涙ぐんで去っていった。また、本部を道端からずっと見つめていた老女は「話す気にはなれないの。すみませんね」と頭を深く下げた。学会関係者は「もともと内向きな人が多く、かつショックが大きいので取材には答えづらいだろう」と述べた。

 大誓堂から東へ歩いて50mほどにある「創価宝光会館」には花が次々運びこまれた。その中には、「大誓堂完成10周年 先生・奥様ありがとうございます」というメッセージが書かれた札が立てられた花束もあった。

 一方で、複雑な思いを抱く人もいる。2世信者で元学会員の天野達志氏は、安保法制反対など自らの考えを発信したことなどが教団批判だと捉えられ、創価学会を追い出された。それでも、元学会員として池田氏への崇敬の念は消えていないと語る。

「池田先生の訃報は本当にショックです。私は先生に人生を学ばせていただきました。今、新型コロナなどのパンデミック、ウクライナとロシアの戦争などの殺し合い、そして甚大な自然災害が起こっています。人類がそれをどうやって乗り越え、解決していくか。それが私たちの信仰の根幹にあるわけです。池田先生はそのために、生命尊厳、平和思想など仏教の教えを自らが体現し、社会に広められました。まさに私の人生の師匠であったのです」

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「池田先生の教えはどこにいったのか」