加えて、最近では資産運用にAI(人工知能)を活用する試みも広がっています。AIは人間ではないので、心理バイアスの影響を受けずに判断をすることができます。この強みを活かして、AIが人間の資産運用担当者にアドバイスをするのです。
人間の運用担当者は、気付けていなかった自分自身の心理バイアスに、AIのアドバイスのおかげで気付けるということです。著者自身も、そういったアドバイザー型のさまざまなAIを開発して勤務先の資産運用に利用しています。
会社によっては、人間ではなくAIに売るか買うかを判断させているところもあります。アドバイス役ではなく、AI自身が判断するということです。
そういったAIによる取引は、コンピューター上のルール(=アルゴリズム)に基づく取引ということで「アルゴリズム・トレーディング」と呼ばれ、世界中でどんどん広がっています。
カーネマンとトベルスキーは、こうした実験を通じて不合理な行動の法則性を発見していきました。
“不合理”なのに“法則性”があるというのも奇妙な話ですが、先ほどの実験結果のように、不合理性については、多くの人に同じような傾向があることが心理学の実験によってわかってきたということです。
つまり、人間の不合理さは人によってバラバラなのではなく、皆に共通する法則性があったのです。