大阪万博350億円“世界最大級”大屋根は世界最大級の無駄遣い」

「建設ストップの決断もせず、漫然と無駄遣いを続けるのは、”世界最大級“の『愚かな政治』だ」

 とX(旧ツイッター)に投稿し、大きな賛同を得ているのは前兵庫県明石市長の泉房穂氏だ。

 AERAdot.の取材にも、

「リングに350億円は壮大な無駄遣い。吉村知事は万博中止がだめなら、縮小開催の政治決断をすべきです。建設費増額を『やむを得ない』などとコメントしていますが、国民はそう思ってはいない。地元ですら万博は盛り上がっていないし、開催地から遠く離れた北海道や沖縄の人の税金も使うわけです。維新は口では『身を切る改革』と言っているが、実際は無駄遣いであることがなぜ吉村知事はわからないのか。維新も自民党と同じ。利権構造にある自民党の二軍です」

 と憤慨した様子で話した。

350億円の3割程度でできる

 AERAdot.は、万博の建設が進む様子を定期的に写真撮影し、確認している。

【写真】10月中旬の万博会場の工事の様子はこちら

 11月初旬に現場を訪れた際は、7カ所ほどでくみ上げられて建設中の大屋根が確認できた。望遠レンズで見ると、地上を走る大型ダンプが小さく見え、かなりのスケールであることがうかがえた。

11月に入ってからの万博会場の工事の様子

 万博の建設問題について、SNSなどで発信し続けている建築エコノミストの森山高至氏にそうした状況について聞くと、

「公開されている図面などを見れば、350億円の3割程度でできると思う。高騰しているのは、請け負っているゼネコンにオモテでは言えないウラがあるんじゃないか。まだ工事の状況がその程度なら、コストが逼迫(ひっぱく)しているので、すべてをつなげないようにして、一部を建設せず丸く見えるデザインにするという方法もあります。大屋根は家やマンションのような天井もない、風呂も台所もない、半年で取り壊す『海の家』のような簡素な造りです。明確な理由もないのに2倍もかかるというだけでは説得力がありません。工夫が足りない」

 と厳しく指摘している。

 万博協会にも政府にも、「東京五輪の教訓」など頭の片隅にもないのだろう。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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