そう問うと、自見万博相は、
「国民のみなさまには必要性をしっかりと説明させていただくということだと思っています」。
これにもすかさず中谷氏が、
「警備費も増額したい、リングもつけたい、なんでもかんでも盛り込んでいて、税金の打ち出の小槌化になっています。今、円安・物価高で国民が本当に苦しんでいる現状があるなかで、350億円のリング、みんな納得できないと思っていると思います。ちゃんと見直して、優先順位をつけて身の丈に合った万博をしてもらえませんか」
と詰め寄ったが、自見万博相は、
「増額については資材や人件費の高騰でやむを得ないと判断したものです。コロナ後の初めての国際博覧会ですので、あらゆる世代に万博の意義をしっかり感じてもらうような万博にしていきたい」
と質問の趣旨からそれた答弁で終えた。
「コストよりシンボル、レガシーに」
万博協会の資料によると、リングの建築面積は約6万平方メートル、高さ12メートル、内径約615メートル、1周2キロ。「世界最大級の木造建築物」という触れ込みだ。神社や寺で使用される伝統的な「貫」と呼ばれる構法を採用した。
万博会場の運営プロデューサーの石川勝氏とデザインプロデューサーである建築家の藤本壮介氏の発案、デザインによるものだ。
1970年の大阪万博では丹下健三氏設計の「大屋根」があり、その真ん中に岡本太郎氏がデザインした「太陽の塔」。まさに万博のシンボルだった。今回はリングがそれに代わるシンボルと位置付けられている。
それだけに、経済産業省から万博協会に出向している幹部は、
「1970年に大成功した万博の再来で、今回も大屋根(リング)となったのですが、ここまでたたかれるとは……」
とこぼした。そして、リングが採用された経緯について、
「石川氏から『バラバラに見えかねないパビリオンをリングで一体化し、1つにまとまって見えるように』と提案があり、藤本氏がデザインを手掛けました。石川氏は2005年の愛知万博にもかかわり、大成功を収めた実績があります。協会としては、コストより万博のシンボル、レガシーになるようにぜひ、という感じでリングに決まりました」
と説明した。