1人1台配られているタブレットを使って授業が進められる photo 才教学園提供
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 2年前から長野県の小中一貫校でSTEAM教育アドバイザーを務め、子ども向けの書籍『あした話したくなる ふしぎすぎる数の世界』『あした話したくなる たのしいやさしい数のひみつ』の監修も担当した「数学のお兄さん」こと横山明日希さんに、家庭でできるSTEAM教育のコツを聞いた。

【写真】数式で描いた「富士山」はこちら

 算数や数学の楽しさを世に広めている「math channel」代表の横山明日希さんは、長野県松本市にある小中一貫校の「才教学園」で一風変わった授業をしている。

 例えば、中学1年生向けの授業のテーマは、「数式を使って、座標上にハートも、富士山も描く」。数式を入力するとグラフを描画してくれるブラウザ上のサービス「desmos」を使い、複数の数式や範囲指定を組み合わせ、数式の係数を変えたりすることでグラフを変化させていく。生徒たちは、一人一台持っているタブレットを使って、自分の描きたい絵に近づけていく。数学とアートという一見もっとも関係のなさそうな分野を結びつける授業だ。

中学1年生の、数式を使って絵を描く授業。立派な富士山が現れた photo 才教学園提供 

「算数や数学が得意な生徒が自分の知っている知識を発揮して良い作品を作ることもありますが、算数や数学が苦手な生徒も、意外とこういう場面で良い発想をして、ほかの先生方が『この子がこんな活躍するなんて』と見方を変えたりすることもあります」(横山さん)

 才教学園は2021年度から「STEAM教育」に力を入れており、横山さんはSTEAM教育アドバイザーとしてカリキュラムの策定や学外への発信にたずさわっている。自身でも年15回程度、総合学習の時間をつかって冒頭のようなSTEAM教育に特化した授業で教壇に立つ。

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「生きる力」をはぐくむ教育