横山さんが提供する授業は算数・数学が軸となるが、たとえば小学生に対しては「自分で数学クイズをつくってみよう」という授業を行っている。4コマ8時間をかけて、一人1問ずつクイズを作成。これまでの知識を生かして一度下書きをつくり、中間発表をして子どもたち同士でフィードバックし合い、ブラッシュアップして仕上げる。最後は全員のクイズを冊子にまとめている。
「みんな楽しんでいると思います。STEAM教育を強化するようになって子どもたちが活躍する場面が増え、みんなの個性もはっきり見えてきているように感じますね」(横山さん)
そんなSTEAM教育を、家庭で後押しするためにはどういったことができるだろうか。横山さんからのアドバイスが以下だ。
① 「算数が嫌い」「数学が苦手」というレッテルを貼らない
算数、数学といっても関数や図形などさまざまなジャンルがあり、なかにはその子どもが得意とするジャンルがあったりします。レッテルを貼ることでその子から関心を奪ってしまわないようにしてほしいです。
②「問題が解ける」「解けない」以外の評価軸を持つ
グラフで絵を描いたり、算数・数学クイズをつくったりという取り組みも、ここにつながります。算数や数学にまつわる何か面白い話を話題にしたり、「こんどパパに問題を出してみてよ」といって一緒に遊んでみたりするといいかもしれません。
③ドリルだけじゃない算数、数学の本やツールで遊ぶ
ドリルでもくもくと計算力を身に付けるのも大切ですが、親子で算数や数学をつかって一緒に盛り上がれるといいですね。冒頭に紹介した「desmos」のほか、数学のさまざまな問題を視覚的にわかりやすく解説してくれる教材がたくさんある「geogebra」や人工知能をつかって数学や理科の高度な問題を解説してくれる「WolframAlfa」というウェブサイトもおすすめです。
冒頭でも書名を挙げたが、横山さんは『あした話したくなる ふしぎすぎる数の世界』『あした話したくなる たのしいやさしい数のひみつ』という本も監修している。こういった本も活用して、「算数・数学は楽しい」というイメージを持つところから、STEAM教育を始めてみてはどうだろうか。
(朝日新聞社 福井洋平/生活・文化編集部)