新たに発足した「チーム栗っ子」では、基本的に入会という概念をなくした。入会制を維持しているのは、いわゆる執行部や運営委員のメンバーだけだ。
入会制の廃止とリンクして会費制をやめ、募金制に移行した。
「現在は、PTAの繰越金を活動運営費としていますが、試行的に今年5月の運動会の際に募金箱を置いたところ、約10万円が集まり、手ごたえを感じました」
赤ちゃんを背負って古紙回収
東京都大田区の区立嶺町小は、14年度にPTA活動を完全ボランティア制の「PTO」としてスタートさせた。実質的にPTAの解散であり、当時、全国でも先進的な取り組みだった。
「時給換算すれば200円ぐらいにしかないベルマーク集めに、会社の有休を使わされる」
「赤ちゃんを背負ってでも、古紙回収に行かなければならないのか」
今年4月から嶺町小PTOの第6代団長を務める久米雅人さんによると、理不尽なPTA活動に対して保護者から、そんな「怨嗟」の声が上がっていたという。
PTAをブラックなものにしていたのは、「やらないといけない義務感」「やらされている強制感」「やらない人がいる不公平感」という三つの「や」だったと、久米さんは説明する。
「PTOは会員制で、会費も徴収しています。ただ、PTOの仕事への参加は任意で、『できるときに、できる人が、できることをやる』という合言葉が浸透しています」
例えば、登校時の交差点での見守り活動でサポーター(ボランティア)を募集すると、毎回たくさんの保護者が協力してくれるという。
PTOの立ち上げからほぼ10年になる。久米さんが実感するのは広報活動の重要性だ。
「活動して楽しかったことや困ったことを、きちんと保護者に周知していくことがボランティア活動の生命線です。広報の回数と量をキープしていかないと、いつの間にか『誰かがやってくれるもの』と思われてしまいます」