全国各地でPTAの姿が変わってきている。PTAは強制参加ではなく、自由に入退会できるという認識が広がり、理不尽なルールを見直した結果、PTAを解散し、新しい組織が立ち上がったところも。各地の「改革」を支える全国組織も立ち上がり、「できる人」が「できるとき」に「できること」をするという形が、さらに広がっていきそうだ。
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長野県松本市の市立明善小PTAの執行部は10月、今年度で解散し、来年度から新しい組織で再出発することを決めた。
12月の臨時総会で解散と再発足が正式に決まれば、新組織は会費を集めず、児童の父母らがボランティアとして学校運営をサポートする形になるという。
明善小PTAではそれまで、資源物回収などの各部会の委員を1クラスから1人ずつ選出し、活動をしてきた。しかし、負担を感じる保護者が少なくなく、委員が決まらないといった課題を抱えていた。
そこで今年3月、PTAとしては初めて在校生の全家庭に対し、PTAに加入したいかどうか意思確認をした。その結果、51%が「加入したい」と回答した。さらに、PTAには入りたくないが、PTAが担ってきた草刈りや枝切り、窓ふきなどの「保護者作業」はやりたいという声も多かった。
PTA会長の石曽根一能(いしぞね・かずよし)さんは、約半数の家庭がPTAへの加入を希望したことを喜ぶとともに、
「トータルすると、7~8割の保護者が子どもたちや学校の支援に対してやる気満々だということがわかった」
と話す。
保護者たちの声を受け、「入会制で運営する今のPTAは必要ないのでは」という意見が出てきた。そして執行部は約7カ月かけて慎重に議論を重ね、PTAを解散して新たな組織で再出発する方針を決めたという。