千葉市のJR千葉駅前など市中心部に10月25日未明、イノシシが出没した。相次いだ目撃情報を受け、県警の警察官や地元猟友会が駆けつけて捕獲する騒ぎとなった。近年、各地で生息域を広げ、農業被害や人的被害が増えているイノシシ。街に迫るイノシシは「災害」だとして、千葉県議たちが防衛省に自衛隊の支援を求めるほど危機感を強めている。
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地元メディアなどによると、千葉市中心部で目撃されたイノシシはその後、港湾地区の海を泳いでいるのが見つかり、陸に上がってきたところを約20人が包囲。網やさすまたを使って捕獲したという。
イノシシは体長104センチ、体重42.5キロの雌で、捕獲後に殺処分された。
通りがかった男性が噛まれて負傷したほか、捕獲にあたった警察官2人もけがをしたという。
千葉市環境保全課によると、市内では林や田畑が残る緑区や若葉区でイノシシの生息が確認されていたが、最近では人家に近い場所でも目撃されるようになっている。
神谷俊一市長は、イノシシが現れた翌日の定例記者会見で、こう語った。
「SNS上で流れた映像を見ると、私の自宅前の道路を通過していました。中央区の中心部でイノシシが確認されたのは初めてです。有害鳥獣対策をどう強化していくか、検討しなければいけないと感じています」
被害の拡大で捕獲を進めているが…
イノシシの被害は全国に広がっている。
環境省の調査によると、ここ40年間でイノシシが確認されたエリアは約2倍に広がっている。最近では人を恐れず、市街地などに現れるイノシシも増えており、イノシシにかまれたり、牙で刺されたりした人的被害は昨年、過去最多の81人に上った。死者も出ている。