富士山中腹の宝永山に登ったときの坂野井さん一家。左から健さん、次男、和代さん、長男=2021年10月

 上が中2、下が小2のときから、横浜に家族がいてお父さんは仙台から週末に帰ってくる生活が始まって今に至っています。そこからは子どもの面倒は基本的に私が見るようになりました。上のお兄ちゃんがめちゃくちゃ頼りになった。下の子は学童に通いましたけど、私がお迎えに間に合わないときはお兄ちゃんに迎えに行ってもらって。

――いやあ、なんともダイナミックな家族の歴史ですね。お仕事が忙しくなってきたというのは、とくにどの辺が?

 女性活躍ってあるじゃないですか。学外で、私だと国立極地研究所が多いんですけど、いろんな委員会に必ず女性を入れてくださいってなっていて、私の年代で超高層大気の分野で極地の研究をしている女性ってほぼ私しかいないから、全部回ってくるんですよね(笑)。そういうのがあふれて、たぶん、今でも両手で数えきれないくらいやっている。

 学内でも、肩書がついてくると会議が多くなってきます。私立大学だと、講師から准教授、教授へって年齢とともに順調に上がっていくんです。その点、国立はどの段階でもガチ公募で、学外から応募する人と競争しないといけない。そこは国立と私立でだいぶ違いました。そういう意味で、私立大学は子どもを持って働きやすかったと思います。

 駒澤で新しく「データサイエンス・AI教育プログラム」というのを始めるとなったとき、とりまとめをやってほしいと言われて学長補佐になりました。今年9月で仕事が終わりましたが、任期中にオンライン授業をきちんと制度化するという仕事もやった。今は総合情報センター所長をやっています。学内のパソコンやネットワークを管理する部署の所長なので、セキュリティーのこととか勉強しながら。

――そういう責任あるポストが次から次に来るんですね。

 文系大学の中でITのことがわかる人が少ないので、そういう仕事が回ってくるんです。やっぱり自分の能力が生かせている感じがして、楽しいですね。あと、大学の業務をやっているときって、意外と南極観測隊の経験が役立つんですよ。南極観測隊って指揮系統がしっかりしていて、意思決定のプロセスもものすごくしっかりしている。そうでないと隊員が死んじゃいますから。天候の急変などがよくあり、隊長はこういう状況で人員と資材はこうなっているからこの作業を先にやるというようなことをみんなに説明して、隊員は納得して動く。学校で業務をやるときって、まさにこれと一緒なんです。

――確かに。

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