と話すのはフランス南西部で子ども7人を育てる日本人のシングルマザー(40代)だ。共働き家庭が多いため、料金的にも利用しやすい早朝保育と放課後保育があり、送迎代行サービス業者も豊富だ。冬休みなどの長期休暇も市のサービスなどであらゆるアクティビティーがある。
一方の日本は社会的背景も全く違い、平日の学校行事を見渡してもほぼ母親というのが現状だ。児童虐待防止全国ネットワーク理事で、子育てアドバイザーの高祖常子さんは、今回の埼玉の条例に非難が殺到したのは「女性に全てがのしかかる不安と怒りがもたらした結果では」と分析する。女性に負担が偏りがちなのは、男女の賃金格差の問題も大きいと見ている。
「保育園の送迎をパパが行う家庭も増えてはいますが、女性の賃金のほうがまだ安く、母親と父親どちらが送迎するのが得かを考えて、女性が担うケースは多い」(高祖さん)
(ライター・大楽眞衣子、フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2023年11月6日号より抜粋