AERA 2023年11月6日号より

 今年4月、ニュージーランドに移住した40代女性は、7歳と10歳の娘を地元の学校に通わせている。子どもだけで登下校することはない。午後3時に迎えに行き、帰りに1時間ほど公園に寄って帰るのが日課だ。

「共働きの人たちはどうしてるの?と最初は疑問でしたが、環境、風習、考え方すべて整っています。お迎えに間に合うよう、早朝5時、6時から働く親も多いです。こっちはファミリーファーストという考え方が根付いているので、家族を優先することが当たり前。体力と時間はきついですが、日本にいる時より親子の会話は増えました」

 親だけでなく、企業や地域など社会全体の意識も高い。

「日本のような残業もないですし、仕事が終わる時間も早いです。ひとり親家庭のサポートも手厚い。アフタースクール(放課後学童)は高額なのであまり利用者はいませんが、お迎えは母親だけでなく、父親や祖母、14歳以上のきょうだい、友人が助け合っています。日本は社会の意識改革をしないと、子どもを一人にさせない社会の実現は難しいと感じます」

男性も女性と対等に

 オーストラリア・クイーンズランド州にも12歳未満の子どもだけの留守番や公園遊びを禁ずる法律がある。背景には治安の問題がある。昨年関西から同州に移住し、幼い子ども3人を育てる女性(40)は、子ども中心の生活スタイルが成り立っているのは、男性の育児参加によるところが大きいと感じている。

「ここでは男性も女性と対等に子育てしています。平日昼間にパパだけでベビーカーでお散歩したり、ベビースイミングに連れてきたりというのが日常です。うちの学校では毎日のお迎えの半分はパパです。社会全体が子育て世代に寛容なんです」

 フランスでは一人で外を歩けるのは中学生(現地学年)からで、小学生の下校には事前に登録した養育者の迎えが必要だ。

「小さな村なら仕事を引退したおばあさんがワゴン車で送迎サービスをやっていることもあります」

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