源田壮亮(西武、30)は右手小指骨折のアクシデントに見舞われた。それでも、スタメンで攻守に貢献した。村上に代わって大会途中から4番に入った吉田正尚(まさたか、レッドソックス、29)はメキシコ戦で値千金の同点3ランを放つなど、大会新記録の13打点をマーク。6番に入った岡本和真(巨人、26)もイタリア戦で3ラン、米国戦で四回に貴重な追加点となるソロを放つなど殊勲打が目立った。
控えの選手たちもモチベーションが高い。山川は代打出場したメキシコ戦で八回に1点差に迫る左犠飛を放ち、九回に代走で起用された周東佑京(ソフトバンク、27)は村上の中越え打で一塁から一気にサヨナラの生還を果たした。緊張が極限の状態で見事に役割を果たした。
■光った栗山監督の采配
栗山監督の采配も忘れてはいけない。スポーツ紙デスクは絶賛する。
「村上を最後まで信じて起用し続けたことがフォーカスされますが、一方で正捕手と予想されていた甲斐拓也(ソフトバンク、30)を固定せず、決勝トーナメントの2試合は中村をスタメンに抜擢しています。状態が良いと言えなかった山田哲人(ヤクルト、30)もメキシコ、米国戦で先発起用するなど大胆な采配を見せています。山田の国際試合での強さを買ったのでしょう。メキシコ戦でマルチ安打、米国戦で二つの盗塁を決めるなど輝きを放った。日本の野球は小技と機動力を使った『スモールベースボール』が特徴と言われてきましたが、栗山ジャパンは一線を画し、パワーでも強豪国に負けないという姿勢を見せたのが斬新でした。世界と戦う上で、侍ジャパンの新たなモデルケースを構築したと思います」
(ライター・今川秀悟)
※AERA 2023年4月3日号より抜粋