「もちろん大谷もすごかった。160キロの球を投げて看板直撃のホームランを打つ。唯一無二の選手でしょう。パフォーマンスもそうですが、あんなに感情を爆発させた姿を今まで見たことがなかった。新鮮でしたね」
大会MVPに選ばれた大谷は全7試合にスタメン出場し、打率4割3分5厘、1本塁打、8打点。投手としては3試合に登板し、2勝、防御率1.86の成績を残した。マウンドに上がれば1球ごとに雄叫びをあげ、日本時間21日の準決勝・メキシコ戦では1点差を追う九回に先頭打者で右中間打を放つと、ヘルメットを投げ捨てて二塁へ。塁上で三塁ベンチに向け、両手を何度も上げてナインを鼓舞した。
米国戦の試合前には声出し役を務め、力強く話した。
「僕から1個だけ。憧れるのをやめましょう。一塁にゴールドシュミット(カージナルス、35)がいて、センターを見たらトラウトがいて、外野にはムーキー・べッツ(ドジャース、30)もいる。野球をやっていれば誰しもが聞いたことあるような選手がいると思うんですけど、今日一日だけはやっぱり憧れてしまったら超えられないので。僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れは捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ、いこう!」(侍ジャパン公式ツイッターの動画から)
■指揮官の思いに応える
野手陣も奮闘した。1次リーグは1番のラーズ・ヌートバー(カージナルス、25)、2番の近藤健介(ソフトバンク、29)の活躍が目立った。
一方、4番の村上宗隆(ヤクルト、23)から快音が聞かれなかった。1次リーグ全4試合終了時点で打率は1割4分3厘、0本塁打、2打点。ベンチには長距離打者の山川穂高(西武、31)が控えており、村上を外す選択肢もあった。
だが、栗山英樹監督(61)は5番に下げてスタメンで起用し続けた。村上も指揮官の思いに応える。16日の準々決勝・イタリア戦で2本の二塁打を放った。準決勝・メキシコ戦では1点差を追う九回無死一、二塁で打席に。それまで4打数3三振と全くタイミングが合っていなかったが、中越えの逆転2点適時二塁打でサヨナラ勝ちを決めた。決勝・米国戦でも先取点を奪われた直後の二回に、メリル・ケリー(ダイヤモンドバックス、34)の148キロ直球を右翼2階席に運ぶ特大の同点ソロ。試合を振り出しに戻す価値ある一発だった。