今季は3度目のオールスターに選出されるなど投打に大活躍した大谷翔平(写真:AP/アフロ)

 今オフにフリーエージェント(FA)となる予定で、去就が注目されている大谷翔平(エンゼルス)。シーズン終盤に肘の靭帯断裂が明らかになったことで、少し市場での価値が下がったという声もあるが、それでもオフの注目度は圧倒的ナンバーワンだ。

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 どのチームが獲得に関心を寄せているのか、また契約の規模がどの程度になるかという点に話題が集まっているが、一番“フィット”するチームはどこなのか検証してみたいと思う。

 大谷が希望するのは「勝てるチーム」であることはたびたび報じられているが、メジャーでは選手の入れ替わりが激しくチームの“旬”を作ることは非常に難しい。そんな中で、ここ最近トレンドとなっているのは、うまく有望な若手をそろえて育て、FAで他球団に引き抜かれる前に勝負できるシーズンを数年作っているというもの。実際、近年世界一になったチームもこの条件に当てはまるケースが多い。

 現在のメジャーリーグでその条件に当てはまるチームの筆頭がマリナーズだろう。

 マリナーズはこれまでイチロー、佐々木主浩、城島健司、岩隈久志など多くの日本人が在籍していたことで有名なチームだが、一方で“勝てていない”ことでも知られている。だが、ここ数年は将来を嘱望される選手を多く集め、昨年は21年ぶりのポストシーズン進出を果たすなど、勢いのあるチームだ。

 今季は後半戦の驚異的な追い上げも届かず、ア・リーグ西地区で3位となりポストシーズンへは進めなかったが、それでも88勝74敗と大きく勝ち越している。

 大谷は肘の手術を受けた影響で来季は打者のみの出場となる見込みだが、“投手大谷”を抜きにしてもマリナーズには素晴らしい素材がそろっているのも大きい。今季はともに13勝をマークしたローガン・ギルバート、ジョージ・カービーを筆頭に、ブライス・ミラー、エマーソン・ハンコックなど20代中盤の有望な若手投手がずらりと並ぶ。加えて、チームトップの14勝をマークしたルイス・カスティーヨ、今季は怪我で1試合の登板にとどまったものの、サイ・ヤング賞左腕のロビー・レイと実績のある投手2人も在籍している。

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マリナーズなら“ストーリー性”も抜群?