投手に比べると見劣りするものの、打つ方でもすでに主力となったフリオ・ロドリゲス外野手、ジャレド・ケリニック外野手の元トッププロスペクトの2人を中心に、コール・ヤング内野手、ハリー・フォード捕手など有望株は少なくない。左の長距離砲不足、そしてDH打者も不在で、チーム編成的な観点から見てもフィットするといえるだろう。
マリナーズの地元紙『シアトル・タイムズ』のウェブサイトは肘を負傷したことで、契約額が下がり金銭面的にも獲得できる可能性に言及。さらに先発、リリーフともに投手陣が豊富なチームでは「マウンドにすぐに戻ることにプレッシャーを感じることはない」とし、「投球の多さが問題ならクローザー起用も可能だ」と大谷がマリナーズに来るメリットを説いている。
今年シアトルで開催されたオールスターでは、地元のファンから「シアトルに来て!」とラブコールも送られ、試合でもマリナーズのチームカラーのユニフォームを着用してプレー。今までワールドシリーズの制覇はおろか出場もないチームに大谷が加入し、憧れの存在でもあるイチローが成し遂げられなかった世界一を達成するというのも、日本人ファンにとっては望ましいストーリーではないか。「誰もやったことがないことをやりたい」という大谷の姿勢にも合っている。
マリナーズの他で移籍先のチームとして噂されているのは、資金力が豊富なドジャース、レッドソックス、メッツ、ジャイアンツ、レンジャーズなどだが、やはり「勝利」というものを求めるならドジャースになる。
今年も2年連続でナ・リーグ西地区を制覇するなど、2013年以降は2021年を除き、10度地区制覇を果たしている。今やヤンキースを抜いてメジャーリーグでナンバーワンの常勝チームと呼んでもよいだろう。だが、ワールドシリーズ制覇となると2020年の1度のみ。今年も地区シリーズでダイヤモンドバックスに敗れており、さらなる勝利のために大谷を必要としている。