久保建英選手(C)朝日新聞社
久保建英選手(C)朝日新聞社
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 サッカー日本代表選手の中で、今、最も注目を集めているのが久保建英だろう。昨シーズンからリーガ・エスパニョーラの強豪チーム「レアル・ソシエダ」に移籍すると9ゴールを奪い、同リーグの日本人最多得点記録を更新。今年9月には、日本人初の月間MVPを受賞した。そんな快進撃を続ける久保が日本代表として戦った試合の中で、最も印象深いものといえば、2021年8月6日に行われた東京五輪3位決定戦ではないだろうか。メキシコに1-3で完敗した直後、久保は人目もはばからず号泣したのだ。あの涙には、いったい、どのような思いが込められていたのだろうか。(※こちらの記事は「AERA dot.」2021年8月7日配信の記事を再配信したものです。肩書年齢等は配信時のまま)

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 この日の久保は試合終了の笛が吹かれるとピッチに倒れ込み、なかなか起き上がることができずにいた。顔を上げたときには、顔をぐしゃぐしゃにしてむせび泣く様子がテレビ画面にも映った。

「いつもは負けた時も淡々としていて、過去にあれほど涙を流した場面は見たことがありません。それだけこの大会に賭けていたんでしょう」

 久保を知るサッカーライターはこう驚く。久保は試合後のインタビューで、「今までサッカーやってきて、こんなに悔しいことはない」「自分が決めていれば、自分がPKを取っていたら、っていろんなことを考えました」と話した。

 こうした言葉から、前出のライターは、久保が背負ってきた重圧の大きさを指摘する。

「年齢が一番若いのに、『久保のチーム』として期待されていた。重圧は当然感じていたはずです。これまでは、U20ではジョーカーとして途中出場することが多く、A代表でもレギュラーになれていませんから、チームの勝利に対してそこまで背負っていない。これほど多くの重圧が久保にのしかかったのは、代表レベルでは初めてです。メキシコに負けて五輪が終わったことで、申し訳なさや責任感、久保が背負ってきたものがせきを切ってあふれ出たのだと思います」

 3日のスペイン戦で延長戦の末に敗れた際には、久保は三好康児選手と途中交代したため、ピッチの外にいた。ベンチの前に座り込み、両膝を抱えてじっとピッチを見つめていた。決勝に進めなかった悔しさはあったはずだが、この時は涙はみせなかった。
 

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思うようにプレーできなかった悔しさ