主催する協会や自民党の要望に対して、さすがに維新や政府は今のところ慎重姿勢だ。しかし、現場の規制当局が取り締まりを行おうとしたときに、万博の開幕に間に合わなくても良いのかというような圧力がかかることは十分あり得る。こうしたことにも十分目を光らせていくことが必要だ。
最後に、もう一つ心配がある。
万博は夢を広げると言うが、実は、その逆になるのではないかという心配だ。現在のところ、世界の目を引くような万博の目玉はほとんどない。空飛ぶ車がデビューすると言っていたが、今や、世界中で空飛ぶ車が飛び始めている。
企業の新技術や新製品の紹介は、昔と違い、万博などなくても日夜世界中で行われる展示会やネット配信で拡散されている。大阪・関西万博よりも、中国の一都市で開かれている様々な展示会の方がはるかに夢があり先進的なものになるかもしれない。
万博に大した魅力がないとなれば、日本の「終わり」を宣伝することになりかねない。それでは、「祭典」どころか「葬儀」ではないか。
「維新の威信がかかっている」などという冗談を言っている場合ではない。
どう考えても、万博はやめるべきだ。もちろん、早ければ早いほど傷は浅くてすむ。
と言っても、2025年4月の開幕まであと1年半。ここまで来てやめるのは無理だと思う人も多いだろう。
しかし、つい最近、国の威信をかけた巨大プロジェクトの一部をやめたというニュースが世界の注目を集めたことをご存じだろうか。