万博をやっても、終われば取り壊すだけ。大阪万博でも太陽の塔は残ったが、それ以外は一時的な夢をみる空間として機能しただけだ。
一方、住宅建設をすれば、住民の住生活向上に貢献し、工場建設が進めば、新しい産業や雇用が生み出される。
しかも、万博は巨額の財政赤字を残すのに対して、民間投資なら公的債務は増えず、産業活動が拡大すれば借金ではなく税収が増える。だから万博をやめれば日本のためになると言えるのだ。
万博に関してはもう一つ懸念がある。それは、労働基準法に定められた残業規制を緩和しろという圧力が高まっていることだ。人手不足の中で工期を短縮するために一人の労働者により長く働いてもらいたいということなのだが、そんなことをすれば、労働者の健康を守り、人間的な暮らしを保障するために最低限の規制をするという労働基準法の目的に真っ向から反することになる。
大阪・関西万博は、国家の一大事業だからというのだが、そのために労働者の健康や安全を犠牲にしろという主張が出てくること自体、この万博がいかに時代錯誤の産物かを物語っている。
大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」だが、そのために労働者が「いのちを削る」ことになるのだ。開いた口が塞がらない。