絶対的エースだった菅野智之

 先発から救援に配置転換されることは葛藤があるかもしれないが、偉大な先輩に良いお手本がいる。巨人、メジャーで先発、救援で活躍し、通算100勝100セーブ100ホールドをマークした上原浩治だ。新人の99年に20勝をマークするなどエースとして活躍したが、07年にチーム事情で抑えに回り32セーブをマーク。メジャー挑戦後もリリーバーとして活躍し、レッドソックス在籍時の13年に73試合登板で4勝1敗21セーブ13ホールド、防御率1.09と抜群の安定感で、日本人初のワールドシリーズ胴上げ投手となった。メジャーで42歳までプレーし、436試合登板で22勝26敗95セーブ81ホールド、防御率2.66をマーク。先発だけでなく、セットアッパー、抑えと全ての役割で偉業を成し遂げたことは大きな価値がある。

 菅野は現在34歳。20代の時に比べて体が思うように動かなくなり、野球人生の岐路を迎える年齢に差し掛かっている。

制球力が良い

「先発しかできない投手ではないし、責任感が強い選手なので救援に配置転換されたら自分の役割を全うすると思います。制球力が良いので四球で崩れるタイプではないし、打者を抑える術を知っている。メンタルも強いですしね。8回に大勢、9回に菅野という必勝リレーが機能すれば白星を積み重ねられる。先発からの配置転換は検討の余地が十分にあるでしょう」(スポーツ紙デスク)

 今季ヤクルトの抑えで33セーブをマークし、FA権を行使するか注目されている田口麗斗もかつては巨人の先発ローテーションで活躍し、「左腕エース」として期待された男だった。セットアッパー、抑えで1年間フル稼働することは、先発で2ケタ以上勝つ事に劣らない価値がある。

 菅野は来季も先発で復活を目指すか、救援という新たなポジションに挑戦するか――。その動向が注目される。

(今川秀悟)