就任会見で原辰徳監督(右)に頭を下げる巨人の阿部新監督

 3年連続V逸に終わったが、攻守で軸になる若手が台頭してきている。戸郷翔征が2年連続12勝でエースとしての地位を築き、山崎伊織は自身初の2ケタ勝利をマーク。野手陣では高卒3年目の秋広優人が頭角を現し、ドラフト4位ルーキーの門脇誠がシーズン終盤に遊撃の定位置をつかんだ。「不動の遊撃」として15年間守り続けていた坂本勇人を守備の負担を配慮して三塁にコンバートさせたのは、門脇の存在が大きい。

競り合いの弱さ

 ただ、来季に向けて4年ぶりのV奪回への道は険しい。阪神との今季対戦成績は6勝18敗1分と大きく負け越し。2位の広島にも8勝17敗と圧倒された。目立ったのは競り合いの弱さだ。1点を争う拮抗した試合終盤に救援陣が踏ん張れない。何度も見た光景は今年に限った話ではない。

 スポーツ紙記者は、「数年前から救援陣がウィークポイントになったまま解消できていない。分業制が確立された現代野球で、リリーバーが不安定では勝てません。先発からの配置転換を含めてテコ入れが必要でしょう。その有力候補として考えられるのが、かつての絶対的エース・菅野智之です。近年は故障の影響もあり、思い描いた成績を残せていない。リリーバーで短いイニングなら全力で投げられるので直球の球速が上がるし、変化球も多彩なので十分に託せる。抑えやセットアッパーで再生する選択肢が考えられます」と分析する。

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定まらない「8回の男」