「娘の答えを聞いて、そういう時間をしっかり取れるようにしようと、片づけのゴールを決めました。それまでは、家に帰ると立ちっぱなしで家事をして、娘と話す時間がなかったので」
リビングの家具の配置換えもして、片づけが完了しました。今では、夜に娘とゆっくり過ごす時間を作れています。
納戸も含めて、家中のモノの定位置を決めたので、散らかってもすぐに片づけられます。イライラすることもありません。娘も定期的に学校のファイルやロッカーを片づけるようになり、「整理すると気分がいい!」と言うほどになりました。
「片づけって、自分で考えて、自分で行動して、自分で答えを出すんですね。くり返しているうちに自分の気持ちも整理できたし、達成感もあって自信を持てるようになりました。このプロジェクトに参加して、自分の未熟な部分をたくさん知ることができて、成長した45日間でした」
「本当は娘の受験の前にこのプロジェクトを知りたかった!」と笑いながら話してくれる彼女が、怒鳴っていた自分に戻ることはもうないでしょう。
片づけることで得られる結果は、家がきれいになることだけではないのです。彼女は家の散らかり具合と自分の感情の起伏がつながっていることを自覚できたので、片づけという手段を選べました。でも、そのような自覚がなく、家もきれいなのに、なぜか毎日イライラしている人はたくさんいると思います。
自分や家族と向き合う手段の一つとして「片づけ」があるということを、もっと多くの方に知っていただきたいです。
●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。