散らかってはいないけれど落ち着かないリビング/ビフォー

5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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case.53  家と向き合うことは自分や家族と向き合うこと

夫+子ども1人/看護師

「家の中がモノであふれて落ち着かない」「散らかっているから、探しものばかりでいつもイヤな気分になる」

 家庭力アッププロジェクト®に参加される方の大半は、このようなお悩みを持っていらっしゃいます。

 でも、今回ご紹介する女性は少し違いました。

 片づけ前の家の様子を見ても、リビングやダイニングの床にモノがない。使うモノがきちんと収納スペースに収まって、スッキリしている。何が彼女を悩ませているのでしょうか?

「昨年、娘が受験のときにすごくイライラしていたんです。今とは人格が違うみたいに、娘に大きな声で怒鳴ったりしていました」

 もともと家が散らかっていると落ち着かない彼女は、家の中をなるべくきれいに保っていました。でも、娘が塾から持ち帰る大量の資料やプリントにうんざり。やっと受験が終わったと思っても、イライラが止まりません。

「娘もあまり片づけが得意ではないので、私が仕事から帰ってくると、ゴミや教科書が置きっぱなしなんです。それを見て、『ただいま』と言う前に『片づけなさい!』と怒っていました」

 片づけが終わってから「学校はどうだった?」と話しかけても、娘は「別に」とそっけない返事。それがまた彼女をいらだたせます。娘からすると、「おかえり」も言ってないのに怒られたのですから、しかたないことかもしれません。

「4月から夫が仕事で不在にすることが多くなり、娘と2人きりの時間が増えました。そうすると、どんどん娘との関係が悪化するのではないかと怖くなって……」

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西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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